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ICHARMは、「Advanced Technology(先進技術)」、「Local Practices(現場での実践)」、「Capacity Development(人材育成)」をキーワードに、世界の水関連災害防止・軽減に貢献することを目的とした「研究」、「研修」および「情報ネットワーキング」活動を一体的に推進します。

ナレッジハブ(KnowledgeHub)は、2008年に開催されたアジア太平洋水フォーラムの枠組みの下に設立された、アジア太平洋地域の「水と安全」問題解決にコミットした組織の集まりです。
ICHARMは2008年6月、「災害リスク軽減と洪水管理」に貢献するハブとして正式に認定されました。ICHARMは地域ナレッジハブとしてICHARMが掲げる「Local Practices(現場での実践)」の目標のもと、付加価値の高いノウハウや研究成果の現地適用について積極的に推進する所存です。

ICHARMによる「コミュニティーレベル災害管理」地域ワークショップ(ネパール、バンケ地方)
国際洪水イニシアチブ (International Flood Initiative: IFI)はユネスコ、世界気象機関(WMO)、国連大学(UNU)、国連国際防災戦略(UNISDR)などの国際機関が世界の洪水管理推進のために協力する枠組みであり、研究、情報ネットワーク、教育・研修、コミュニティーの強化、技術支援及び統合洪水管理に関する技術支援などを主要分野としています。
ICHARMは、IFIの事務局を担当しており、IFI諮問・運営委員会の組織、IFIホームページの管理、活動レポートの編集、関係機関の交流の推進などの活動を積極的に行っています。
詳細は、公式ホームページ(http://www.ifi-home.info)をご覧ください。

運営委員会会合
洪水のような大規模水関連災害に対応するためには、防災組織の職員個人の能力向上とともに、組織全体としての対応能力向上を図ること(Capacity Development)が必要不可欠です。そのため、右図のような各種研修活動を通じて、個人の課題解決能力を向上し、防災組織としての対応能力向上に貢献しています。
2007年10月からは、(独)国際協力機構(JICA)と政策研究大学院大学(GRIPS)と協力して1年間で修士号を取得できる修士課程「防災政策プログラム 水災害リスクマネジメントコース」を実施しています(受入学生数:44名(4年間計))。また、2010年10月から、GRIPSと共同で新たに博士課程「防災学プログラム」を開講しました。学生の受入人数は毎年度1~3人です。

洪水によって多くの人命が失われている国や地域では、住民の早期避難を実現するためにも洪水予測技術が必要とされていますが、未だ十分な数の雨量観測所が設置されていない等の理由から、洪水流出解析が難しい状態にあります。このような国や地域において、洪水の発生時期や規模を事前に知り、適切な避難や、被害を回避・低減する行動の意志決定に資することを第一の目的として、ICHARMではIntegrated Flood Analysis System (IFAS)と名付けた洪水流出解析システムを(社)国際建設技術協会、9社の建設コンサルタント各社の技術力を結集し、共同研究体制によってVer.1.0を開発してきました(現在ICHARMが開発主体)。
IFASの大きな特徴として、世界中の地形データ、土地利用データを使って比較的簡単に流出解析モデルが構築できること、降雨データに人工衛星で観測された降水量データを入力できる機能を持っていることが挙げられます。またこれらのデータの多くは、無料でインターネット等から入手できます。これらのデータの取り込みから、モデル作成、流出計算、結果表示までの一連の解析を、IFASで行うことが出来ます。
さらに2010年度には、IFASに衛星降雨データを自動でダウンロードし、IFASに取り込んで、流出計算を行い、警報を発信する機能を搭載しました(2011年春β版公開)。水災害によって被害を受ける国や地域では、インターネット環境等にも恵まれていない傾向があるため、まとまったデータのダウンロードには非常に多くの時間を要することや、回線の容量が小さいことから、日常業務にも支障が出る恐れがあります。そのため、普段から自動的に、こまめにデータを収集し、こまめに計算しておくことでインターネット環境の良くない地域においても、大きな負荷をかけることなく、流出解析と洪水予警報を可能にしたものです。
また、近年ではIFASの開発と平行して、実務的な技術支援プロジェクトの一環として、IFASの現地河川への導入や実務技術者へのトレーニングを通した能力開発など様々な技術協力を行っています。トレーニングでは、自らデータを収集し、これを基にIFASを用いて計算することで、将来自ら洪水予警報システムを構築し、維持しながら技術力を向上していけるように、IFASの基本的な操作方法等を数日間かけて学びます。ここで得られた問題点や実務技術者からの意見を参考にして、IFASのさらなる改良を進めていきます。
IFASの実行形式ファイルは、こちらより無償でダウンロードできます。

ADBプロジェクトにおけるソロ川流域
(インドネシア)へのIFAS導入プロジェクト
ICHARMは、ADBのプロジェクトの一環として、IFASをベースとした洪水予警報システムをインドネシア国ソロ川へ導入するプロジェクトを実施しています。このプロジェクトでは、洪水予警報システムの導入ばかりでなく、現地技術者が実際にIFASを使用できるように、ICHARMの研究員が現地に赴いて彼らを対象としたトレーニングも実施しています。
世界的に注目が高まる地球温暖化及び地球温暖化が水災害に与える影響に関する研究として、ICHARMは文部科学省「21世紀気候変動予測革新プログラム」の一環として、「気候変動に伴う全球及び特定脆弱地域への洪水リスク影響と減災対策の評価」を実施しています。
本研究では、次の開発を実施してきました。
1)気象研究所超高解像度大気大循環モデル(MRI-AGCM)の
降水量出力値の統計的バイアス補正方法の開発
2)全球水循環シミュレーションのための全球疑似河道網の作成
3)全球任意流域へ適用可能な水循環モデル(BTOP)の開発
4)BTOPモデルにより計算される全球の極値流量、地理及び社会データを
用いた新しい洪水リスク評価手法の開発
これらの要素を統合することで全球及び特定脆弱地域における地球温暖化が洪水リスクに与える影響評価を行います。

ICHARMはその設立以前から、ユネスコが中心となって他の国連水関連機関と共に推進している世界水アセスメント計画(World Water Assessment Programme: WWAP)に貢献してきました。これまでに、世界水発展レポート(World Water Development Report: WWDR)における執筆担当をはじめ、各種報告書、ケース・スタディーや副読本を担当・作成しています。
WWDRの最新版(WWDR3)では、『Chapter 12 Evolving hazards -and emerging opportunities』を担当し、加えて政策決定者向けのレポートである『Global Trends in Water-Related Disasters -an insight for policymakers』も作成しました。このレポートは、水に関した様々な話題を扱っており、一般市民から行政諸機関まで水に関わるすべての人々、また特に発展途上国の関係者にとっては非常に有益な出版物となっています。
詳細については、こちらをご覧下さい。
2009年11月の連携協定締結を契機として、ICHARMはアジア開発銀行(ADB)の地域技術協力「災害管理への投資の促進」プロジェクトの実施機関としての活動を開始しました。本プロジェクトは様々な知識・能力開発サービスを通じて対象国の水災害脆弱性を軽減することを目標にしています。
対象国はバングラデシュ、インドネシアとメコン下流国(ベトナム、カンボジア、ラオス)であり、各国ごとの活動と地域共通活動から構成されます。インドネシアではIFASのソロ川流域での実践及びコミュニティー防災活動の強化、バングラデシュでは早期警報システム向上のための提案、メコン下流域では洪水脆弱性指標開発などを積極的に実施しています。

洪水早期警報に関する関係者会議(2011年3月16日、ダッカ)
ICHARMは2011年9月開催予定の第5回洪水管理国際会議(International Conference on Flood Management: ICFM5)を主催します。その準備を精力的に進めています。また、過去開催された会議に関する資料をオンラインで提供するサービスも行っています。今回の会議は、リスク管理を推進することで、より効果的かつ効率的な組織間の協働が確立され、洪水と共に生きる知恵が育まれるという共通認識のもと、開催されます。会議の全体テーマ「洪水:リスクを好機に」は、洪水リスクに対処するという機会を我々が協力していかに利用していくのかという近年広がりつつある考え方を反映しています。
詳細はこちらをご覧ください。
WEP(Water and Energy Transfer Processes)モデルは、元々は流域規模水循環モデルとして開発されました。近年の流域規模での栄養塩管理の必要性を鑑み、WEPモデルを窒素及びリンのシミュレーション機能(溶存態及び懸濁態)を付加することで流域規模の水・物質循環モデルに拡張しました。既に日本の複数の河川流域へ適用し、その適用性を確認しました。
このシステムは設置型流速計等を用いた自動計測のほか、ADCP(超音波ドップラー流向流速計)による検証・精度管理を含めた一連の計測システムです。ICHARMでは自動計測アルゴリズム開発のほかADCP観測に関する技術開発にも取り組んでいます。最近は、いくつかの河川でこれらの技術を用いた洪水時のADCP観測が実施され、厳しい河川流況でも適用可能な技術として期待されます。
地球温暖化による気候変動により、従来の水文統計解析手法が適用できない可能性が指摘されています。ICHARMでは水文データに関する新しい統計解析手法の開発を行っています。
自然災害の影響軽減という喫緊の必要性を認識し、国際科学会議(ICSU)は、国際社会科学会議(ISSC)、国連国際防災戦略(UNISDR)と共催で、2008年10月、自然災害に関する国際研究プログラムを開始しました。このプログラムは「災害リスク統合研究計画」と呼ばれ、研究が進んでも災害が減らないのはなぜかという疑問に正面から取り組むものです。
本プログラムでは、理学、工学のほか、社会、経済、保健衛生など諸科学分野の研究者から共同して、災害リスクの原因を解明し、その上で行政組織とも共同して、科学的知見に基づくリスク削減の意思決定を実践に移すことを目指しています。
自然災害が多い国でありながら経済発展を成し遂げた日本の代表機関のひとつとして、ICHARMの貢献が期待されています。