ICHARMについて

ICHARM とは?

正式な名称

International Centre for Water Hazard and Risk Management under the auspices of UNESCO」といい、日本語では「ユネスコ後援機関 水災害・リスクマネジメント国際センター」です。

ロゴマークの意味

ICHARMのロゴマークは、穏やかな水面を3つの三日月形で表しています。上の三日月形は土木研究所のロゴマークを、下の三日月形はUNESCOの「U」の字を表しており、土木研究所、ユネスコ、そしてICHARMが一体となって世界の人々と水を包み込むように支えていくことを期待しています。

ICHARMのロゴマーク

水災害って?

水にまつわる災害(水災害)には、主に大雨によって引き起こされる、洪水や土砂災害(土石流やがけ崩れ、地すべり)があります。それだけでなく、長期間に及ぶ干ばつ(水不足)、生活排水や有害物質による水質汚染、さらにめったに起きないけれどひとたび発生すると非常に大規模な被害が発生する津波などがあり、世界中の人々の生活をおびやかしています。

日本でも最近、豪雨による洪水や土砂災害などの水災害が数多く発生していますが、世界的に見ても水災害は他の災害と比べて発生件数が多く、またその半分はアジアに集中しています。さらに、災害で影響を受けた人口で考えると、実に96%が水災害によるものとなっていて、水災害による被害を少なくすることは、世界的に見ても重要な課題となっています。

アメリカ・ハリケーンカトリーナによる洪水被害(2005年)
タイ・チャオプラヤ川洪水による工業団地の浸水被害(2011年)

リスクマネジメントって??

「リスクマネジメント」は、「リスク(危機)」を「マネジメント(管理)」する、つまり日ごろよく聞く「危機管理」という考え方です。 まず、それぞれの地域で「どのような」災害が、「どのように」発生し、「どの程度の」被害を及ぼすのかなどを災害が起こる前に様々な方法によって計算し、それを災害の「リスク(危機)」としてとらえます。

さらに、その「リスク(危機)」に対して、災害の被害を少なくするために、災害が起こる前にはどのようなことをしておけばいいか、災害が発生したらどのように対応したらいいかなど、様々な「マネジメント(管理)」方法を考えるのが、「リスクマネジメント」です。

関東・東北豪雨による堤防決壊地点付近の被害(2015年)
九州北部豪雨によるJR橋梁の流出(2017年)

ユネスコって?

「ユネスコ」と聞くと、多くの方は世界遺産を思い浮かべるかと思います。そもそもユネスコは,教育,科学及び文化などの活動を通じて,世界平和に貢献するために作られた国際連合の機関の一つです(本部:フランス・パリ)。ユネスコの正式な名前は「国際連合教育科学文化機関(United Nations Education, Scientific and Cultural Organization)」といい,その頭文字を取ってUNESCO(ユネスコ)と呼ばれています。

ユネスコが作られた最大のきっかけは第二次世界大戦であり,1946年11月4日,人類が二度と戦争を繰り返さないようにという願いを込め,その活動をスタートさせました。

戦争は人の心の中で生まれるものであるから,人の心の中に平和の砦を築かなければならない」。これは,ユネスコ憲章前文の冒頭を飾る有名な言葉です。この言葉からも,ユネスコが,教育,科学,文化など私たちの普段の生活に大きく関わる分野を通して,人の心に平和の砦を築き,世界の平和に貢献しようとしていることがわかります。

ユネスコには2017年9月現在195か国が加盟しており,日本は1951年,世界で60番目に加盟しました。ユネスコは第二次大戦後日本が初めて加盟した国際機関であり,日本は当時からユネスコの活動が重要であると考えています。

また,1999年にアジア出身者として初めて松浦晃一郎さんがユネスコ事務局長に選ばれ,2009年まで10年間,ユネスコのトップを務めました。

(以上、外務省ホームページ「キッズ外務省」からの引用)

ユネスコと水問題の関わり

「21世紀は水の世紀」とも言われています。世界人口が急激に増加し、安全な水の確保など水に対する関心が世界で高まりつつある中、ユネスコは1975年(昭和50年)に「International Hydrological Program(IHP):国際水文計画」を設立し、様々な国が協力して、水に関する問題を解決するための活動を世界中で行ってきました。特に、「水災害の被害を少なくすることが、世界の発展のために必要である」という考えが、人類共通の課題として認識されてきたことを背景に、ユネスコはIHP活動の一つとして、世界各地に水問題の解決に取り組む研究センター(ユネスコセンター)を開設してきました。ICHARMはそのようなユネスコセンターの一つで、世界の水災害に関するリスクをどのようにマネジメントするべきかを主に研究します。

なぜ土木研究所にICHARMが作られたの?

日本は、山がちな土地に多くの雨が降り、低い土地に多くの人が住んできたため、古くから洪水や土砂災害に悩まされてきました。しかし、それを様々な知恵や技術によって克服してきたため、世界的に見て水災害に対する豊富な知識や経験、および高い技術力もあります。このため、水災害で多くの被害を受ける国に対して、日本の経験や技術をその国のやり方に応じて伝え、災害の被害軽減に役立てることが求められています。

土木研究所と筑波山

土木研究所は、日本の代表的な国の研究所としてこれまで100年にわたり、河川堤防、ダム、道路、橋など様々な土木施設を、よりよく設計・施工・管理するための研究を行ってきました。その一つとして、水災害を含む様々な自然災害から人々の生活を安全に守るための技術研究にも取り組んできました。

これらを踏まえ、土木研究所が持つこれまでの経験や技術をもとにし、水災害に苦しむ国の人たちも被害を少なくする技術を使えるようにするために研究を行い、それを研修などを通じて世界中に広めることを目的に、2006年3月6日、ICHARMはユネスコセンターの一つとして、土木研究所の一組織として設立されました。

ICHARM設立の調印式 (2006年3月3日)
ICHARM開所式(2006年3月6日)

ICHARMでは何をしているの?

ICHARMでは研究だけではなく、海外の政府で働く人や研究者にいろいろな知識や技術を教える「研修」を行っています。また、ICHARMで行っている活動について、日本国内や海外の会議などで研究や研修の成果を発表したり、会議に参加している人と議論したりして、将来のICHARMのさらなる活動に活かすための「情報ネットワーク活動」を行っています。

この「研究」「研修」「情報ネットワーク活動」の『活動の3本柱』の活動に取り組むことで、世界での水災害による被害が少なくなるよう、日々、努力しています。

IFAS研修
「水と防災に関するプラットフォーム」の会議(2017年5月ミャンマー)

おわりに

このようにICHARMでは、世界の人々と一緒に、研究や研修などの様々な活動に日々取り組んでいます。少しでも興味がわいた人は、このホームページをいろいろと検索してみてください。