Centro Banamex

2006年3月16日から22日にかけて、メキシコシティのバナメックス会議場において『第４回世界水フォーラム』が開催されました。登録された参加者は 1万人以上に及び、その名の通り世界各地から水に関する専門家・研究者を始め、一般の方も多く参加し、様々な水に関する問題を議論する各種セッションやイベントが開催されました。

ICHARMは、展示会場内『日本パビリオン』の一角に展示ブースを出展して、活動内容の紹介等を行うとともに、ユネスコ、世界気象機関 (WMO) との共催によるセッションを開催し、設立間もないICHARMを広く紹介することに努めました。

なお、世界水フォーラム全体の概要は、日本水フォーラムHP (http://www.waterforum.jp/) をご覧下さい。

【展示ブース】

各国の様々な民間会社や研究機関が出展を行う『水のエキスポ』内の『日本パビリオン』において、パネル展示やパンフレットの配布を通じてICHARMの 活動内容の紹介を行いました。ICHARMの活動方針や具体的な活動計画について熱心に説明を求める来場者も多く、用意した500部のパンフレットはみる みるうちになくなり、コピー版の配布に切り替える状況でした。来場者の約半数は現地メキシコの方でしたが、スペイン語の通訳をお願いした現地ボランティア の廣池文枝さん (メキシコの大学に留学中) のおかげで、十分なPR活動が出来たと思います。

ICHARM展示ブース

来訪者からの質問に答える様子

【統合洪水管理に関するセッションでのプレゼンテーション】

3月18日 (土) 11:15-13:15　Diezmo2会議室において、日本、フランス、オランダ3国の共同開催により、｢統合水資源管理 (Integrated Water Resources Management) の一環としての統合洪水管理 (Integrated Flood Management) ｣と題したセッションが行われました。｢統合洪水管理｣は、氾濫原の有効活用を含め洪水のプラス面を最大限に活かしつつ、洪水によってもたらされるマイナスのインパクトを最小化するために、分野横断的な総合的なアプローチ (施策) を推進することをねらいとしています。 　セッションの冒頭、国土交通省の清治技監及びフランス生態及び持続可能な開発省のベルトー水局長より、主催者を代表しての挨拶が行われました。続いてインド、フランス、日本、オランダにおける事例紹介及びこれらに基づいて世界気象機関 (WMO) の水文水資源部Tyagi部長司会のもとで、パネルディスカッションが行われました。(下記プログラム参照)

寺川グループ長は、「Integrated Flood Management for Urbanized River Basins in Japan」と題して約10分間のプレゼンテーションを行い、日本の経験から得られた教訓として、事前の予防措置(対策)が重要であること、計画段階からの利害関係者の参画が結果的に意思決定に至るまでの時間やコストの低減につながり得ること、計画を超える災害時の被害最小化の視点も忘れてはならないこと、及び流域の土地利用変化等に伴う水文環境への影響をあらかじめ予測し、保全対策を講じるべきであること等を説明しました。また、パネルディスカッションの中で、ダム、堤防、遊水地等の構造物対策と洪水予警報、洪水ハザードマップ、リスクを考慮に入れた土地利用誘導等の非構造物対策 (ソフト対策) を、地域の実情に応じてうまく組み合わせることの必要性を指摘しました。

"Adopting Integrated Flood Management within the Integrated Water Resources Management"

March 18 11:15-13:15, in Room Diezmo2, Centro Banamex

PROGRAM

Opening remarks from convener
Mr. Masato Seiji : Vice-Minister for Engineering Affairs, MLIT, Japan
Mr. Pascal Bertaud : Water Director, MEDD, France

Presentation of local actions
Community Approach to Flood Management
Prof Kamta Prasad
(Institute for Resource Management and Economic Development, India)
Plan Loire Grandeur Nature
Mr. Regis Thepot (Etablissement Public Loire, France)
Tama and Tsurumi River Basin Water Master Plan
Mr. Akira Terakawa (Public Works Research Institute, Japan)
River widening project: Overdiepse Polder
Mr. Ben van den Reek (Province of North Brabant, the Netherlands)

Panel discussion
Moderator: Mr. Avinash Tyagi (Director, Hydrology and Water Resources Department, WMO)

Wrap-up and conclusion

【国際洪水イニシアチブ (IFI) に関するセッションの開催】

セッションのオープニングで挨拶される松浦ユネスコ事務局長
(左から竹内センター長、Tyagi WMO水文・水資源部長、
松浦ユネスコ事務局長、 Ginkel国連大学事務局長、
Szollosi-Nagyユネスコ水科学部長)

21日　16:45－18:45、Montejo3会議室において、"Collaborative Approach among International Agencies for Effective Flood Risk Management - International Flood Initiative (IFI) - "と題して、ユネスコ及び世界気象機関（WMO）と共同でセッションを開催しました。ユネスコの松浦事務局長、世界気象機関のJarraud事務局長 (Tyagi部長代読) 及び国連大学のGinkel事務局長の挨拶に続き、ICHARMの竹内センター長より、ICHARM設立の報告と活動内容・活動計画の紹介等を行いました。

 続いて、国際洪水イニシアチブ (IFI) に参画している各機関から、それぞれの取り組みを紹介頂くとともに、日本での事例紹介として、ダム水源地環境整備センター研究第一部の三宅部長及び ICHARM国際普及チーム田中上席研究員よりプレゼンテーションを行いました。 (下記プログラム参照) 　フロアとの質疑応答の後、司会をお願いしたSzollosi-Nagyユネスコ水科学部長による総括をもってセッションの幕を閉じました。

PROGRAM

Moderator: Dr. Andras Szollosi-Nagy (UNESCO)

Opening Address
Mr. K. Matsuura, Director General, UNESCO
Mr. M. Jarraud, Secretary General, WMO
Prof. H. van Ginkel USG, Rector UNU
Prof. K. Takeuchi, Director of ICHARM, PWRI

Implementation of Hyogo Framework for Actions in the Area of Water-related disasters
Dr. S. Briceno (ISDR)
Importance of Multi-disciplinary Approaches in Integrated Flood Management
Mr. A. Tyagi (WMO)
Concept of the International Flood Initiative
Dr. K. N. N. Thein (UNESCO-IHP)
Tools for Consensus Building for Comprehensive Flood Loss Prevention Measures
Mr. K. Miyake (MLIT)
Human Security and Flood Risks
Prof. J. Bogardi (UNU)
Research Needs in Disaster Response Systems
Dr. A. Askew (IAHS)
Environmental and Ecological Aspects of Integrated Flood Management
Prof. N. Tamai (IAHR)
Capacity Building of Flood Hazard Mapping
Mr. S. Tanaka (ICHARM)

Open Discussions & Wrap Up