ICHARM -- The International Centre for Water Hazard and Risk Management


ICHARM ニュースレター
International Centre for Water Hazard and
Risk Management under the auspices of UNESCO

Vol.1-No.2 2006年8月

 

 このニュースレターは、 UNESCO の後援のもとで設立・運営される(独)土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM:アイチャーム)の活動内容を広く関係者の皆様方に知っていただく目的で発行しているものです。
 バックナンバー(ユネスコセンター設立推進本部が発行したものを含む)については こちら をごらん下さい。


〜目次〜

 



1. 竹内センター長からのメッセージ

まずは、7月中葉の、西ジャワ島津波の犠牲者、また中国、ベトナム、フィリピン、韓国一帯から、日本の中部・西日本に広がる豪雨災害の犠牲者に、深く哀悼の意を表します。特にPangandaran, West Javaの津波については、予警報システムの整備が遅れていたことが原因の一つであり、 ICHARMもその進捗に向け、働きかけの一端を担いたいと思っております。

ICHARMは本年3月6日発足以来、本格活動に向けて、意欲的な取り組みを開始しました。ハザードマップ研修、予警報システムの研究開発など、既定の活動の他、新しい計画、協力体制の強化の面でも、大きなステップを踏み出しました。中でも国交省を中心に、各方面の方々にご参加いただいて、協力体制を組んでいただきましたことは、今後の国内支援体制の強化に向け、大変意義深いことと思います。
5月10日には、国連大学に国内の関係者をお招きして、発足記念シンポジウム「世界の水災害軽減に向けて」を行いました。国際活動に関心のある方々を中心に、 80名ほどにご参加いただき、ICHARMの目標、基本方針について、さまざまなご意見をいただきました。

それに先立つ4月27日には、河川局の中に国際戦略検討会を発足いただき、河川局全体の統合的国際戦略の一環にICHARMを位置づけ、総合的効果を挙げるための、検討を始めていただきました。またこれと並行して、4月5日、5月23日、6月22日、7月26日と月一のペースで、国際実務経験者を中心にした勉強会を開いていただいています。いずれも熱意渦巻く会合で、ICHARMはその期待に応えるべく、毎回沢山の宿題に取り組んでいます。
7月3-7日にパリのユネスコ本部で、第17回IHP(国際水文学計画)政府間理事会が開かれ、 ICHARMからも、私と寺川グループ長が出席しました。 ICHARMは、前期2年間のIHP活動の目玉の一つとして、各種報告で繰り返し言及され、協力の申し出も相次いで、大きな注目を集めました。特にEU(欧州連合)のFlood Directive、中国揚子江委員会、インド国立水文研究所、米陸軍工兵隊水資源研究所からの協力提案は、大きな展開に発展することが期待されます。米陸軍工兵隊水資源研究所とは、初日午前の審議直後、本会議場で各国代表が見守る中、ピエトロフスキー所長と私により、包括的な研究協力についての覚書(MOU)の署名式が行われました。

今理事会では、ICHARMの諮問委員会委員6名が、各地域より選出され、坂本理事長指名の委員とあわせ、 13名が確定しました。各委員には、9月15日の諮問委員会でのご助言を始め、ICHARMの世界的役割遂行に向け、強力なご指導をお願いいたします。

政府間理事会に先立つ6月30日、7月2日の二日間、同ユネスコ本部で、 IAHS・ユネスコ共催のKovacs Colloquium(コバッチ会議)「洪水研究のフロンティア」が開かれ、 ICHARMも活動方針の紹介をしました。 Call for an Alliance for Localismと題して、災害の危機に直面する現地の人々の、問題の実態に正面から取り組みたいと、Localism(現地主義)の抱負を述べました。このLocalismは、上に述べましたいくつもの意見交換会を通じ、皆さんの共通の認識として沸きあがってきた方針です。「水災害は原因も結果も、国や地域によりまったく異なっているので、その多様性を正しく認識し、真に現地住民のニーズに応えられる活動をする」と言うものです。普遍的技術や制度の普及さえできれば問題は解決すると言うような、安易な発想を戒め、現地住民の身になって考えることを、ICHARMの看板にしたいと思います。今後9月15日の諮問委員会に向けた、ICHARM活動の骨太計画も、Localismを中心に立案したいと思っています。

この5ヶ月の間に、国際公募のスタッフが2名加わり、国際スタッフは計4名になり、陣容も充実してきました。さらに6名の国際公募の準備をしております。

9月14日国連大学において、ICHARM発足記念国際シンポジウム「Alliance for Localism」を開催します。これへのご参加をはじめ、ますますのご協力を、お願い申し上げます。

水災害・リスクマネジメント国際センター
センター長  竹内邦良



(活動報告等)


2. ICHARM設立記念式典及び記念シンポジウムの開催の御案内

来る9月14日(木)東京渋谷の国連大学本部 (http://www.unu.edu/hq/japanese/index-j.htm) 国際会議場において、ICHARM設立記念式典(10:00-11:00)及び記念シンポジウム(11:30-17:00)を開催予定です。皆様方のご参加を、心よりお待ちしております。プロ不ラムや参加申し込み(参加無料ですが、準備の都合上、事前登録をお願いします)については、 ICHARMホームページ (http://www.icharm.pwri.go.jp) を参照ください。

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3. 新しい専門研究員の紹介

オスティさん(国際普及チーム)

ネパール出身のオスティさんが2006年6月からICHARMの国際普及チームに加わりました。 ICHARMに来る前は、ドイツのルネバーグ大学で、 DAAD スキームでの熱帯・亜熱帯地域における水資源管理というテーマで修士を取得し、その後、立命館大学で地すべりや土石流といった土砂災害や、急勾配の山が存在する地域におけるその対策を中心とした土木工学分野で博士を取得しました。彼は発展途上国における水資源管理や水災害対策(プロジェクト実施、地域住民による災害対策、住民参加、水災害が及ぼす社会的影響、行政の役割を含む)に関係する研究に従事してきており、地域コミュニティーの発展を目的としたUNDPのネパールにおけるプロジェクトに数年間従事した経験もあります。初めのうちはネパール政府の公共事業に携わると同時に、民間のコンサルタントにも所属していました。 ICHARMでのオスティさんの業務は、発展途上国における洪水被害軽減のために、洪水ハザードマップの機能と効果を評価し、重要な現地ニーズの発掘を行うとともに、その普及促進に向けた課題について調査研究を行うことです。


 オスティさん


 ハプさん

ハプさん(水文チーム)

2006年7月より水文チームにプラサンタ・ハプアラチさん(通称ハプさん!)が専門研究員として加わりました。ハプさんはスリランカの北西にあるクリカピティアという小さな町の出身です。マリアデブアカレッジで高等教育課程を修了したあと、1991年にスリランカのピープルズバンクに就職し、 2年間働きました。カレッジ時代は、スポーツ、音楽、ボーイスカウト活動にうちこんでいたとのことです。その後、1993年にスリランカのペラデニア大学に入学し、土木工学を勉強しました。また、この頃はたくさんの社会活動や、スポーツにも参加したそうです。 1997年に卒業したあと大学で1年講師として働き、その後、構造設計会社のナナヤカラアソシエートに設計技師として就職しました。そこでは、ホテルコンプレックスの設計、監督に従事し、多くの実務経験を得ることが出来たようです。1998年の秋にユネスコの奨学金をもらい、中国のホハイ大学で水資源と環境工学の勉強を始めました。その時の研究テーマは、水文モデルのパラメータフィッティングの自動処理アルゴリズムの作成に関するものでした。 2000年に修士課程を修了し、中国の奨学金委員会のサポートを得て博士課程に進みました。博士課程では、主に分布型モデルとGIS技術を使った洪水予測に関する研究を行いました。博士号を取得した後、2003年に日本の山梨大学に研究者として在籍しました。そこでは流域モデル(メコン川と黄河の二つの大きな河川流域のモデル)を研究し、「Virtual Academy」というオンライン学習システムの管理をしました。そして2006年7月からはICHARMに研究者になりました。

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4. ICHARM 発足記念シンポジウム

平成18年5月10日に国際連合大学においてICHARM発足記念シンポジウム『世界の水災害軽減に向けて−ICHARM発足の報告とご協力のお願い−』を開催しました。参加者は防災、水環境、農業、気象、建設、保険、海洋、等の分野で様々な活動を行っている大学、民間企業、独法、財団関係の方々であり、出席者約80名による活発な意見交換が行われました。

シンポジウムの前半では、竹内センター長をはじめICHARMのメンバーがICHARMの概要とその活動方針や設立経緯、当面の具体的な活動内容の紹介を行いました。シンポジウムの後半では、京都大学防災研究所副所長の寶教授をコーディネーターとしてパネルディスカッションを行い、頻発する世界の水災害軽減にむけてICHARMの担うべき役割や期待される活動内容について幅広い視点から意見交換を行いました。

参加者からは下記のようなアドバイスをいただきました。

  1. 現地ニーズに対応した取り組みがICHARMを特徴づける。
  2. 日本国内を対象として発展してきた日本の防災技術を海外で効果的に運用していくには現地の状況に適応するようにカスタマイズする必要があり、そのための研究を実施する必要がある。
  3. 防災を必要としている地域のニーズをどのように発掘していくかが重要である。
  4. ニーズアセスメントはリソースアセスメントと組み合わせて、常に実現可能性を検討しながらニーズの発掘を行っていく必要がある。
  5. 総合リスクマネジメントの実施には幅広い分野の知識・経験が必要であり、 ICHARMと関係機関とのアライアンスが重要である.その際、双方が利用するという仕組みが必要である。また、ICHARMは幅広い人材を取り入れ、活動していくことが重要である。
  6. 地域の実態をふまえた問題解決にはコニュニティレベルでの対応も重要である。
  7. 研修の実施やデータベースの構築、現地での調査等についても様々な関係機関と密接に連携して行っていくことが重要である。

なお、会場の複数の機関から具体的な連携の提案が寄せられました。


活発な意見交換がなされました


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5. 栗橋町におけるタウンウォッチング(洪水ハザードマッピングに関する研修)

2006年6月6日から9日にかけて、海外からの研修生を招いて洪水ハザードマップ研修を行いました。 この研修は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の委託を受けた財団法人全国建設研修センターが実施している 「平成18年度 JICA集団研修 インフラ施設の自然防災に対する抑止・軽減対策および復旧対策コース」 のなかの洪水ハザードマップに関する部分をICHARMが担当して行ったものです。 参加した研修生8名の出身国はアルジェリア、グレナダ、モルディブ、ネパール、ニカラグア、 スリランカ、タイの7カ国です。今回の演習では、洪水ハザードマップを作成する際に、 どのような点に注意する必要があるのかを研修生に考えさせる「タウンウォッチング(現地調査演習)」を 埼玉県栗橋町を対象にして実施しました。

1日目は、洪水ハザードマップの概要と目的について習得して頂きました。
2日目は最初に富士常葉大学の小川雄二郎教授より、タウンウォッチングを行う目的、 注目すべきポイント等についてご講義いただき、 その後、小川教授と共に栗橋町へ移動し、国土交通省利根川上流河川事務所で浸水実績図や 最新の洪水予報システムについて説明頂きました。 その後、3グループに分かれてタウンウォッチングを実施しました。 タウンウォッチングは、避難所に指定されている場所やそこに行くための道、 案内表示等について問題点を議論しながら進めると共に、住民へのインタビューを通じて 洪水ハザードマップの普及度合いや洪水に対する危機意識の調査を行いました。

3日目は各グループで班別討議を行い、タウンウォッチングの結果から水防災の観点での問題点の抽出、 それに対する解決策の提案を行いました。

4日目は前日にグループ毎に討議した結果について3グループ発表して頂き、 避難所や避難経路、住民の意識等についてさまざまな問題点とその解決策が提案され、 活発な議論が行われました。この演習を通して、各研修生が自国でハザードマップを作成する際に 注意すべき点について日本の現状と対比して考える良い機会となったと思います。




討議結果の発表

 

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6. フィリピンとICHARMの連携について

ICHARMは独立行政法人国際協力機構、フィリピン公共事業交通省の治水砂防技術センター等と協力して、フィリピンにおける洪水被害軽減に関する方向性の意見交換を行ってきた。フィリピンは破壊的な台風やモンスーンの災害に常にさらされている。人民防衛庁及び自然災害調整委員会によると1980年から2003年の24年間の洪水被災者は42,000人、被害額は1兆880億ペソを超えている。フィリピン政府は氾濫原防御のため連続堤防建設に多額の投資をしてきたが、予算の制約と技術的バックグラウンドが限られているため、壊れた堤防は放置されているというのが現状である。政府は堤防の維持管理・修復や輪中堤による地域保護のような小スケールのプロジェクトに力を入れていく方向へシフトしている。ICAHRMはフィリピンとの技術協力の計画のために継続的に対話を続けていく予定である。


フィリピンにおける洪水被害者(1980-2003、FCSEC調査)


侵食が進む河川堤防の一例

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7. 故吉野文雄博士が水文・水資源学会特別功労賞を授与(2006年5月2日 日本 東京)

ICHARM水文チームの前身にあたる旧建設省土木研究所水文研究室に長年勤務された経歴を持つ故吉野文雄博士に対して、水文・水資源学会より特別功労賞が授与されました。受賞理由は、「水文・水資源学会活動の長期にわたる貢献とレーダ水文学の確立」です。故吉野博士は、昭和56年から平成2年にかけて上記水文研究室長を務められ、その間、レーダ雨量計を用いた降水量観測技術、降水予測技術、及び、当時としては画期的な直交二偏波ドップラーレーダを用いた降水量観測精度向上や降水粒子判別技術の開発を積極的に推進し、我が国におけるレーダ水文学の確立に最も中心的な役割を果たしたと言って良いでしょう。また、水文・水資源学会活動にも積極的に参画し、副会長や評議委員を歴任されました。授与式は、5月2日の水文・水資源学会理事会(於東京大学)に先立ち執り行われ、ご子息の吉野靖明に対して、池淵周一水文・水資源学会長(京都大学教授)より表彰状と金1封が授与されました。



(会議参加報告)

8. フラッシュフラッドワークショップ(2006年3月13−17日 コスタリカ サンホセ)

世界各国のFlash Flood(急激な増水を伴う洪水)の起こる地域において 適用可能なFlash Flood予測技術に関する最新の研究や現地適用成果についての最新の情報を共有することを 目的として、世界気象機関(WMO)と米国大気海洋気象庁(NOAA)の主催により1週間にわたり開催されました。 発展途上国において人工衛星情報を用いた危険度評価を行う最先端的な研究から、 洪水危険区域に居住する住民自ら主体的に取り組むことのできるコミュニティ防災技術まで、 様々なレベルの検討事例が紹介されました。 深見上席研究員は、洪水予警報の仕組みや効果に関する日本の事例・経験を紹介することを 主催者より依頼され、「洪水リスクにさらされる人々への注意喚起:日本における経験」 と題した発表を行いました。また、ワークショップ成果文書をとりまとめるにあたって、 人工衛星によるリアルタイム降雨観測プロダクトの時空間分解能・精度向上への努力の重要性を指摘しました。


会議参加者の様子

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9.アジア科学会議(2006年4月18日 インド ニューデリー)

ICHARMのアセーラ・パティラナ研究員が2006年4月にインドのニューデリーで行われた アジア科学会議に出席し、その間にIIT Roorkeeを訪問しました。 インドの技術研究組織であるRoorkeeは、インドにおける研究や教育、 人材育成についてICHARMと連携することに興味を示していました。

この訪問の間、土木工学部門のメンバーと情報交換を行い、連携の可能性について議論しました。 また、土木工学部門の長であるN.K.GOEL教授の要請により、この部門の卒業生に講義を行いました。
アジア科学会議においても、アセーラ・パティラナ研究員によるICHARMの活動内容の紹介が行われました。


Roorkeeにて

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10. 水分野における新技術に関する会議(2006年5月16日 オランダ ロッテルダム)

5月16日オランダロッテルダムの世界貿易センターにおいて、 オランダ科学技術庁主催による「水分野における新技術に関する会議」が開催され、 日本からは寺川グループ長と水資源機構愛知用水総合事業部の仰木管理課長が参加しました。 昨年6月に日本で開催された日蘭水管理政府間会合を受けて、 両国の水分野における技術交流推進の一環としてオランダ政府の招きを受けたものです。

寺川は水防災をテーマとするセッションにおいて 「日本の都市化した流域における総合的な洪水リスク管理」と題したプレゼンテーションを行い、 オランダの関連分野からの参加者及び同じセッションに参加したアメリカ、イタリア、フランス、 ドイツ、中国等からの発表者と意見交換しました。


講演会場に隣接したホールで行われた技術展示会の様子

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11. 第4回メコン河洪水フォーラム(2006年5月18-19日 カンボジア シェムリアップ)

今回第4回目となるメコン河年次洪水フォーラムがカンボジア・シエムリアップで開催されました。 昨年のメコン河の洪水やそれによる被害の特性についての調査結果、 被害軽減への最新の取り組みはもちろんのこと、 今年は、特に「メコン河下流域における洪水管理と災害軽減のための洪水予警報システムの改善」 という副題が設けられ、洪水予警報精度向上に関する先進国における最新の研究事例の紹介も行われました。

ICHARMからは深見上席研究員が参加し、 「メコン河における洪水予測の精度向上とリードタイム拡大に向けの鍵となる技術開発の紹介」 と題してICHARMにおける洪水予警報に関連した最新の研究事例を紹介する発表を行いました。 そこでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米国カリフォルニア大学デービス校(UCD)及び 国内主要民間コンサルタント会社と進めているそれぞれの共同研究の成果・動向を紹介しました。また、ICHARMの世界の水災害軽減へ向けた様々な取り組みを紹介するポスター発表も併せて行いました。


フォーラム開会式の様子
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12. 総合的な災害リスク管理のための、複数災害早期警戒システムに関するシンポジウム(2006年5月23-24日 スイス ジュネーブ)

世界気象機関(WMO)が主催、WMO本部で行なわれた上記シンポジウムにICHARMを代表して 深見上席研究員が参加し、23日のセッション5「緊急事態への備え、計画、対応における リスク情報と早期警報の統合」において、パネリストとして 「洪水災害への予警報と備えに関する議論:日本における経験」と題した発表を行いました。 また、そのセッションの総合討論においては、例えばメコン河委員会等の地域組織が capacity buildingに果たす重要な役割や、洪水予警報の各プロセスにおける 責任主体の明確化の必要性を指摘するとともに、各種災害の予警報作成にあたっては高度な専門性が 要求される中で、真にマルチハザード対応が求められるのは、 現場における防災活動組織(例えば、日本の場合は、消防団や地震防災を兼ねた水防団)であることを 指摘しました。


シンポジウムの様子



13. インド洋地域における津波早期警戒システムの開発、減災および防災に関する地域ワークショップ(2006年6月14日−16日 タイ バンコク)

6月14-16日、バンコクのUnited Nations Conference Centreにおいて「インド洋地域における津波早期警戒システムの開発、減災および防災に関する地域ワークショップ」が開催されました。本会議は国連世界防災戦略(UN/ISDR)が事務局となり、 UNESCAPと政府間海洋委員会(IOC)と共同で開催されたもので、インド洋地域の国々からそれぞれ3名(防災担当、計画担当、津波早期警戒担当)ずつ計約100名の政府関係者が出席しました。 ICHARMより国際普及チームの田中上席研究員が出席し、「構造物によるわが国の津波対策の紹介」を行いました。このワークショップは早期警戒が中心の会議の認識が強いように感じていましたが、津波の早期警戒だけでなく津波防災全般さらには他の関連災害も含めて議論されており、プレゼンテーションの後で各国の出席者から内容について好意的な反応をいただき、構造物対策や防災意識の問題もすんなりと受け入れられたものと理解しました。


 ワークショップの風景

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14. 第17回ユネスコIHP政府間理事会(2006年7月3日−7日 フランス パリ)

7月3日から7日にかけてパリのユネスコ本部において第17回ユネスコIHP(国際水文計画)政府間理事会が開催され、竹内センター長(日本ユネスコ国内委員会IHP分科会主査)と寺川グループ長が参加しました。

会議には理事国35カ国と、オブザーバーとして38カ国、14機関が参加し、ユネスコIHPの現行5カ年計画の実施状況や次期5カ年計画の策定状況、 ICHARMを含む既存のユネスコセンターの活動状況及び他の国連機関や非政府機関との協力等についての報告及び討議が行われました。また会期中にICHARM諮問委員会メンバーのうち IHP地域代表として下記の6名が選出されました。

(Group1:北米及び西欧) Eugine Stakhiv氏(アメリカ)
(Group2:ロシア及び東欧) Maciej Zalewski氏(ポーランド)
(Group3:中南米及びカリビアン) Carlos Tucci氏(ブラジル)
(Group4:アジア及びオセアニア) Mohamed Kahlown氏(パキスタン)
(Group5:アフリカ) Abon Amani氏(ニジェール)
(Group6:アラブ) Anwar Jiries氏(ヨルダン)
4日間の議論をふまえて、会議最終日(7月7日)に採択された決議には

  1. 既存の水関連ユネスコセンター間の連携強化を戦略的に推進するとともに、それを次期5カ年計画(2008−2013)に反映させること
  2. 近年の大規模な水関連災害の多発を背景として、水関連災害軽減に関わるさまざまな国際機関(ICHARMを含む)やプログラムの共同研究を推進すること

等が盛り込まれました。


政府間理事会の審議風景

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編集・発行:独立行政法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)

〒305-8516 茨城県つくば市南原1−6  Tel : 029-879-6809 Fax : 029-879-6709
Eメール: icharm@pwri.go.jp ホームページ: http://www.icharm.pwri.go.jp/

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