ICHARM -- The International Centre for Water Hazard and Risk Management


ICHARM ニュースレター
International Centre for Water Hazard and
Risk Management under the auspices of UNESCO

Vol.1-No.3 2006年12月

このニュースレターは、 UNESCO の後援のもとで設立・運営される(独)土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM:アイチャーム)の活動内容を広く関係者の皆様方に知っていただく目的で発行しているものです。

バックナンバー(ユネスコセンター設立推進本部が発行したものを含む)については こちら をごらん下さい。

目次

 


1. 竹内センター長からのメッセージ

平成18年9月14日東京青山の国際連合大学本部ウ・タント国際会議場において、「水災害・リスクマネジメントセンター(ICHARM)」の設立記念式典及び設立記念シンポジウムを開催しました。会場には海外からの出席者を含め、約300名の参加者がありました。記念式典では、北側国土交通大臣(当時)揮毫によるICHARMの看板とユネスコのソロシナジー水科学部長から国際連合旗が授与されました。日本の政府関係者、国連並びに多数の国際機関の関係者にICHARM設立を祝賀していただき、大変光栄に思っています。引き続き同会場で行われたシンポジウムでは、水関連災害の軽減に向けた様々な取り組みについて6名の講演者から講演をいただきました。翌日、土木研究所において、「2006〜2008年のICHARM戦略とアクションプラン」が、第1回ICHARM諮問委員会の場で発表されました。諮問委員会では、多くの建設的なアイディアとアドバイスをいただき、より内容の濃い戦略とアクションプランにすることができ、諮問委員の皆様には大変感謝しております。今回の諮問委員会を経て、我々は幅広い国際社会に支持された確かな戦略と活動計画を策定することができたと考えており、あとはこれらを着実に実行してまいります。ICHARMは、水災害リスクマネージメントの分野で世界的な拠点として活動していく事を目指しており、さまざまな自然条件下の地域を対象とした実効性のある戦略を提供し、その実現を支援します。まずは、洪水関連災害をターゲットとし、「研究、研修、情報ネットワーキング」を活動の3本柱としています。具体的な活動として以下の各項目を揚げています。

 1. 洪水予測および早期警報をGoogle Earthなどのメディアを使ってエンドユーザーに伝達するための最先端技術の活用。

2. 研修生帰国後のフォローアップ活動を含む研修コースの実施、および洪水防災分野の修士号取得へとつながる大学院レベルの人材育成活動。

3. 意思決定者のために実効性のある情報として役立つ海外流域でのケーススタディや世界洪水年鑑(仮称)へとつながる、地域特性とニーズに焦点を当てた情報ネットワーキング。


4. 目的達成に必要な相乗効果を生み出すための、全ての関連組織、構想、そしてプログラムとの連携。

各々について、多くの具体的な活動がすでに始まっています。私たちは強い熱意と責任を持って、この計画の実行にあたっていくつもりでおりますので、皆様におかれましては、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

 


水災害・リスクマネジメント国際センター
センター長  竹内邦良



2.「Sentinel-Asia(アジアの監視員)」プロジェクト構築のための第2回共同プロジェクトチーム会合

アジア各国の宇宙開発機関から構成されるアジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)が主催する、「Sentinel-Asia(アジアの監視員)」プロジェクト構築のための第2回共同プロジェクトチーム会合が平成18年6月27〜28日にタイのバンコクにて開催されました。センティネルアジアプロジェクトとは、アジア太平洋域の災害管理に資するため、APRSAFが、アジア太平洋域の災害管理に資するため、災害関連情報を共有する活動災害関連情報を共有するボランティア活動イニシアチブであり、具体的には、慶応大学に実装されるDigital Asiaと呼ばれるISO標準のWeb-GIS(地理情報システム)を用いて、地図データなどとの重ね合せによる付加価値のついた衛星画像等によって、災害情報を共有しようとする取り組みです。その枠組みのもとで、森林火災WGと洪水WGが開催されましたが、後者において、ICHARMの深見上席研究員が座長として指名されました。今後、センチネルアジアプロジェクトの一環として、衛星情報を中心として、降雨モニタリング・洪水予測および氾濫被害軽減に役立てる有効事例を収集・奨励し、普及させていく活動を推進していくこととなりました。それらの概要は、
http://www.aprsaf.org/text/wg_disaster.htmlに紹介されています。

プロジェクトチーム会合の様子
up


3. 水文・水資源学会2006年度研究発表会

毎年恒例となった国際交流セッションが国土交通省および土木研究所の後援により設けられ、中国および韓国の水文・水資源学会の代表団が来日して研究成果の情報交換が平成18年8月29〜31日の間、岡山行われました。
ICHARMからの研究発表としては、深見上席研究員がレーダ雨量データを用いたDAD解析研究、及び、低水流量観測の精度に関する研究の成果を報告するとともに、猪股研究員が、メコン河の洪水調節に重要な役割を果たしているトンレサップ湖の過去の水収支特性の再現に関する研究成果報告を行いました。また、深見上席研究員は、水文・水資源学会企画・事業委員会実務・技術部門小委員会の小委員長として、実務・技術部門交流会ワークショップ「中国地方の水を巡る最近の話題」の司会進行役を務めました。

up


4. 第7回Hydroinfomatics国際会議

平成18年9月4日〜7日の間、フランスのニースにおいて第7回Hydroinfomatics国際会議が開催され、ICHARMから深見上席研究員が参加し、「Development of an integrated flood runoff analysis system for poorly-gauged basins」と題した研究発表を最終日午後に実施しました。ここで紹介したIntegrated Flood Analysis System(IFAS)は、発展途上国における洪水予警報システムの整備を効率化するために役立つツールとして、IFNetの事務局の役割を担っている国際建設技術協会(IDI)と、日本国内の9つの民間コンサルタント会社との共同研究により開発を進めているシステムです。日本における数少ない海外向けの流出解析ソフトウェア開発事例として、欧州を中心とした参加者に広く認知してもらったことは大きな成果であると考えています。会議全体としても多くの参加者を集め、非常に盛況でした。第8回会議は2008年にチリにて開催されるとのことです。

研究発表の様子

up


5. ICHARM設立記念式典および設立記念シンポジウム

2006年9月14日東京青山の国際連合大学本部ウ・タント国際会議場において、「水災害・リスクマネジメントセンター(ICHARM)」の設立記念式典及び設立記念シンポジウムを行いました。

北側国土交通大臣(当時)による看板授与

今般、 日本政府とユネスコ間の協定書に基づき、第1回目の諮問委員会(Advisory Board)が開かれるのを機に、ユネスコや世界気象機関(WMO)の代表等、諮問委員会メンバーも来賓として御招きしました。式典への参加者は、約300人。来賓として、国土交通省から北側国土交通大臣、松村国土交通副大臣、門松河川局長、望月国土技術政策総合研究所長、並びに外務省山本広報文化交流部長、文部科学省瀬山国際統括官、また、在日外国公館からはコスタリカやハイチ大使館をはじめとする多数の国々の大使館から、そして土木研究所の研究業務として関係の深い独立行政法人等から多数のご臨席を賜りました。

冒頭、挨拶にたった土木研究所坂本理事長がセンター設立までの経緯と今後の展望について、センター設立の意義、関係各機関への感謝を述べたのに続いて、ご来賓のユネスコのソロシナジー水科学部長、外務省山本広報文化交流部長、文部科学省瀬山国際統括官、WMOティアギ水文水資源部長、国際連合大学ボンド学長室長よりそれぞれ祝辞を頂きました。

続いて、公務のため到着が遅れていた北側国土交通大臣よりICHARM設立についての祝辞と併せて、北側大臣御揮毫による「水災害・リスクマネジメント国際センター」の看板が大臣より直接坂本理事長に手渡され、会場は大きな拍手で包まれました。その後、ユネスコの松浦事務局長の代理として出席いただいたソロシナジー水科学部長より、ICHARM竹内センター長に国際連合旗が手渡されました。また、日本水フォーラム森会長、国際協力機構緒方理事長を始め、関係の皆様から頂戴した祝電も披露させていただきました。式典の最後にICHARMセンター長が、センターの設立経緯と活動方針について紹介し、式典は無事終了しました。

アンドラス・ソロシナジー氏による国際連合旗授与

ICHARM設立記念式典の開催後、「Alliance for Localism」(地域の課題解決のための国際的連携)をテーマとする記念シンポジウムを開催しました。シンポジウムでは竹内センター長の司会のもと、世界各地で発生している水関連災害の現状とその防止・軽減に向けた様々な取り組みについて6名の講演者から講演をいただきました。

設立記念シンポジウムののち、式典、シンポジウムの参加者を招いてレセプションを開催しました。国際連合大学安井副学長及び、国土交通省門松河川局長からご挨拶を頂き、参加者とシンポジウムの講演者及びICHARM関係者との交流が深められました。

レセプションでの意見交換の様子

 

up


6. ICHARM国際諮問委員会

設立記念式典の翌日、9月15日(金)に、つくばの土木研究所において、第一回ICHARM国際諮問委員会が開催されました。(写真) 諮問委員会は、日本国政府とユネスコ間の協定書に基づいて土木研究所理事長が設置するもので、ユネスコが選出する6名の地域代表、ユネスコ事務局長の代理者及び土木研究所理事長が推薦する6名の合計13名によって構成されています。諮問委員会はICHARMセンター長が提出する活動計画案及び予算案に助言を与えること及びセンター長が提出する報告書を検討し、及びこれに助言を与えることを任務としており、原則として2年に1回開催されます。土木研究所理事長はこの助言に基づいてICHARMの活動計画及び予算に関する最終決定を行うことになっています。第1期(2006-2008)の諮問委員会のメンバー構成は表の通りです。

諮問委員会の審議は午前10時より昼食休憩を挟んで約4時間にわたって行われ、経験豊かな委員各位よりICHARMの活動方針や活動計画(アクションプラン)について、経験豊富な委員各位から有益なコメントやアドバイスをいただきました。なお、諮問委員会でのアドバイスを反映したICHARM活動計画
ICHARM Strategies and Action Plan for 2006-2008)については、ICHARMホームページでご覧いただけます。
http://www.icharm.pwri.go.jp

ユネスコIHPの6地域代表
Group1(西欧・北米)Eugene Z. Stakhiv 氏米国 陸軍工兵隊水資源研究所 国際水問題アドバイザー
Group2(東欧・ロシア)Maciej Zalewski 氏ポーランド 生態水文学センター長
Group3(中南米・カリビアン) Carlos E. Tucci 氏ブラジル リオグランデ・ド・ソル大学教授
Group4 (アジア・オセアニア)Muhammad A. Kahlown 氏パキスタン 水資源研究評議会議長
Group5a(アフリカ)Abou Amani 氏ニジェール 水文気象センター上席研究員
Group5b(アラブ)Anwar G. H. Jiries 氏ヨルダン ムタ大学教授
ユネスコ事務局長(代理者)Andras Szollosi-Nagy 氏ユネスコ 水科学部長
世界気象機関(WMO)事務局長(代理者)Avinash C. Tyagi 氏世界気象機関 水文水資源部長
国際防災戦略(ISDR)事務局長Salvano Briceno 氏国連国際防災戦略 事務局長
国連大学(UNU)学長Hans van Ginkel 氏国際連合大学 学長
ユネスコ水教育研究所(IHE)所長Richard A. Meganck 氏ユネスコ 水教育研究所長
国際協力機構(JICA)副理事長畠中 篤 氏国際協力機構(JICA)副理事長
国土交通省技監谷口 博昭 氏国土交通省 技監
第1期(2006−2007年)ICHARM諮問委員会メンバー構成


諮問委員会の様子

 

up


7. アジア水循環能力開発ワークショップ

本ワークショップは、アジアの水資源管理の政策決定者に、地球観測の計画、水資源管理の応用とデータアクセスの現状についてレビューの機会を与えるとともに、水資源管理の実務者を対象に、水資源管理のための観測とデータ、ツールについて情報を共有し、GEOSSの構築に貢献するアジア水資源管理能力開発プロジェクトに関する提言をまとめることを目的としています。JAXAやIGOS水テーマ、GEO,東京大学、国連大学、ICHARM等の主催により平成18年9月26日〜28日の間、タイのバンコクにおいて開催され、アジア22ヶ国からのべ121名の参加がありました。ICHARMからは深見上席研究員が参加し、ICHARMにおける洪水災害管理能力開発のための研究や研修活動の紹介を行いました。また、最終日に開催された3つの作業部会のうち、洪水WGの司会進行役を務め、衛星情報へのアクセスの改善やGPMの実現等の勧告をとりまとめに参画しました。

ワークショップの様子
up


8. UNESCO-IHEにおける研修への講師派遣

オランダのデルフトにあるUNESCO-IHEでマスターコースの研修生を対象に、平成18年9月25日〜9月30日の1週間、"CLIMATE CHANGE IN INTEGRATED WATER MANAGEMENT" をテーマとするSummer Courseが行われました。これに国際普及チームの田中上席研究員が講師として招きを受けて参加し、日本における洪水ハザードマップについて講義を行いました。マスターコースの研修生は18ヶ月の研修期間のうち、講義を主とする1年間の研修期間が終わり10月から6ヶ月に及ぶ修士論文の研究を開始するまでの期間にこの研修に参加しました。このコースでは研修生は2日半の講義の後、班ごとに分かれて仮想国Republic of Climate Landの気候変化への対応を議論しました。研修の最終日にはベルギーからアントワープを通ってオランダに流れるScheldt川のアントワープ周辺の河川事業等を視察しました。

写真1 研修開始時にコースの概要を説明するコーディネーターと研修室の設備

写真2 Scheldt川下流部、潮差が5mあり、高潮対策が必要な区間。高い土堤が築かれている。
堤内地には低い2線堤と住宅が見える。


up


9. ユネスコ IHP International Symposium on Managing Water Supply for Growing DemandにおいてICHARM主催の特別セッションを開催

平成18年10月17日、タイ・バンコクにおいてユネスコIHPのアジア太平洋地域委員会が主催するシンポジウムの一環として、Comprehensive Approaches for Flood Disaster Mitigation in Asiaと題した特別セッションを行いました。最初にICHARMのアクションプランの概要について竹内センター長が説明したあと、災害情報分野で1件、洪水予警報分野で5件、ハザードマップ分野で4件の発表が行われ(ICHARM職員の田中上席研究員、深見上席研究員、パティラナ研究員(現:UNESCO-IHE職員)による3件の発表を含む)、活発な議論が展開されました。

特別セッションの様子
up


10. 第14回ユネスコ国際水文計画(IHP)東南アジア・太平洋地域運営委員会

10月19日〜20日にかけて、タイのバンコクにおいて、第14回ユネスコ国際水文計画(IHP)東南アジア・太平洋地域運営委員会が開催されました。会議では、各国におけるIHP活動についての報告と意見・情報交換ならびに今後の活動計画についての議論が行われました。ICHARMからは、寺川グループ長が日本からのメンバーの一員として参加し、ICHARMの設立報告と活動方針等を紹介するとともに、平成14年10月の運営委員会においてICHARM設立を支持する旨の決議をいただき、これが昨年10月のユネスコ総会でのICHARM設立承認決議の原動力となったことに対し、改めてメンバー各国に謝意を表しました。

委員会後の集合写真
up


11. 大メコン会議

平成18年年10月18日〜21日の間、国際会議「Mekong Research for the People of the Mekong」がタイのチェンライで開催されました。現在、メコン河に関係する研究プロジェクトが複数進められていますが、今回の国際会議では各々の研究プロジェクトに携わっている研究者が発表を行い、何がメコン河にとって重要で、どのような研究を今後行っていく必要があるのかについて議論が行われました。
ICHARMは文部科学省研究開発局新世紀重点研究創生プランResearch Revolution 2002「アジアモンスーン地域における人工・自然改変に伴う水資源変動予測モデルの開発」に参加してメコン河に関する研究を行っています。今回の国際会議には、ICHARMから深見上席研究員、猪股研究員、ハプアラッチ専門研究員が参加し、それぞれ以下のタイトルで研究発表を行いました。

深見上席研究員
1.メコン河流域の水文気象モデルによるメコン河流域の気象データ復元
2.メコン河流域における水資源予測のための土地利用・水需要将来シナリオ

猪股研究員
1.衛星降雨データに基づくプルサット川流域への分布型水文モデルの適用
2.トンレサップ湖およびその周辺域における過去水文データの復元

ハプアラッチ専門研究員

水循環モデルによるメコン河流域の水文特性把握

Mekong Research for the People of the Mekongホームページ:

http://www.conf-mekong.com/index.html

会議の様子
up


12. アメリカ出張報告

平成18年11月8日〜10日にかけて、The 6th Global Precipitation Measurement International Workshopがアメリカ合衆国のアナポリスで開催されました。Global Precipitation Measurement (GPM)とは、人工衛星から地球上の降雨を高頻度・高精度で観測する事を目的として、NASA(米国航空宇宙局)およびJAXA(宇宙航空研究開発機構)により推進されている計画です。本ワークショップにはICHARMから猪股研究員が参加し、人工衛星観測雨量の洪水予警報への適用についてこれまでの検査結果を発表しました。

The 6th Global Precipitation Measurement International Workshopホームページ

http://gpm.gsfc.nasa.gov/6thworkshop/

up


13. 洪水ハザードマップ研修2006実施報告


 平成18年10月30日〜12月1日の間、東・東南アジア地域別「洪水ハザードマップ作成」コースを国際協力機構(JICA)の支援のもとで実施しました。本研修は世界気象機関(WMO)の支援により設立された台風委員会との連携のもと、2004年から2008年までの計画で実施しているもので、本年度で3回目の実施となります。
 本研修の目的は、洪水ハザードマップ作成とその普及に必要な技術や知識を習得するだけでなく、研修において得られた技術や知識が帰国後に同分野に携わる人材に共有されることです。そのため、研修終了後のフォローアップにも力を入れています。
 研修参加者は、インドネシア、カンボジア、タイ、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ラオス各国から2名の計16名です。

開講式の様子(ICHARM1階講義室にて)

研修カリキュラムは主に講義、演習、自主作業、現地調査、グループディスカッション、プレゼンテーションに分類されており、各カリキュラムの概要は以下のとおりです。

講義:日本や世界における洪水の現状や洪水ハザードマップの現状や、洪水ハザードマップ作成に必要なデータ取得のための技術について日本のみならず海外の研究機関等から講師を招いてご講義をいただきました。

演習:洪水ハザードマップ作成に必要な流出解析や氾濫解析、GISの技術を習得するため、タンクモデル、貯留関数法を用いた流出解析演習、米国工兵隊提供のHEC-RAS,HEC-GeoRASを用いた氾濫解析演習、ESRI社提供のArcGIS9.1を用いたGIS演習を行いました。

講義・演習風景

自主作業:各演習で習得した技術を用いて、サンプル地域における洪水ハザードマップを研修生自身が作成しました。

現地調査:庄内川河川事務所、三重河川国道事務所の協力のもと、庄内川、宮川流域の洪水被災箇所とその復旧状況を見学しました。また、伊勢市役所の協力のもと、研修生自身が洪水ハザードマップを持って街を歩き、住民へのインタビューを行うことにより危険箇所の指摘やマップの有効性などを認識する「タウンウォッチング」を行いました。なお、この「タウンウォッチング」は研修開始直後にも茨城県にある小貝川で行っており、様々な講義や演習を受ける前と受けた後にタウンウォッチングを行うことにより研修で得た知識や技術の確認ができるようにしています。

グループディスカッション:タウンウォッチングは16名の研修生を4班に分けて行っており、タウンウォッチング終了後に各班で問題点の整理や解決策の提案等について議論を行いました。

プレゼンテーション:本研修では3つのプレゼンテーションを行いました。一つ目は、研修の最初に各国の洪水被害の現状や洪水ハザードマップの現状について発表が行われました。2つ目は、タウンウォッチング後のグループディスカッションの結果についてグループ毎に発表が行われました。3つ目は研修の最後に本研修のまとめと自国における洪水ハザードマップ作成についてのアクションプランについて各研修生から発表が行われました。

現地見学(名古屋市楠調整池)

グループディスカッション風景

本研修終了後にも、ICHARMと研修参加者との人的ネットワークを維持し、情報交換を行うと共に、来年2月にはマレーシアのクアラルンプールにおいて情報交換と議論を目的とした洪水ハザードマップセミナーを開催する予定です。

最後になりましたが、お忙しい中ご講義をいただきました講師の方々、現地調査でお世話になりました事務所の方々にお礼を申し上げます。

up

お知らせ

 このニュースレターはEメールで配布しております。 またウェブ上でも公開いたします。 メーリングリストへ登録希望の方・もしくは今後の配信を希望されない方は下記アドレスまでご一報下さい。 また、ご意見・ご要望も随時受け付けておりますので、下記アドレスまでお送りくださると幸いです。

編集・発行:独立行政法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)

〒305-8516 茨城県つくば市南原1−6  Tel : 029-879-6809 Fax : 029-879-6709
Eメール: icharm@pwri.go.jp ホームページ: http://www.icharm.pwri.go.jp/


 
up