研究

5つの主要な柱

 ICHARM は、以下の5つの研究の柱のもと、水災害のハザードに係わる観測、予測、分析手法、暴露と脆弱性の評価、分析、モニタリング手法、水災害軽減の実務的な政策メニューの提言に関する幅広い知識を蓄積し、それらを活用して、問題解決に資する質の高い研究成果を継続して行っています。

(1) 水災害データの収集、保存、共有、統計化
(2) 水災害リスクのアセスメント
(3) 水災害リスクの変化のモニタリングと予測
(4) 水災害リスク軽減の政策事例の提示、評価と適用支援
(5) 防災・減災の実践力の向上支援


現在の主な研究テーマ

土木研究所 研究開発プログラム

 土木研究所は、将来も見据えつつ社会的要請の高い課題に重点的・集中的に対応するため、中長期目標で示された以下の研究開発テーマに取り組んでいます。

  A. 自然災害からいのちと暮らしを守る国土づくりへの貢献
  B. スマートで持続可能な社会資本の管理への貢献
  C. 活力ある魅力的な地域・生活への貢献

 これら3つの研究開発テーマを遂行するため、研究グループ長をプログラムリーダーとする15の「研究開発プログラム」を構成しています。
●「研究開発プログラム」一覧
https://www.pwri.go.jp/jpn/research/program/index.html

 ICHARMでは、「A. 自然災害からいのちと暮らしを守る国土づくりへの貢献」に関する研究開発プログラムとして、水災害研究グループ長をプログラムリーダーとする『水災害の激甚化に対する流域治水の推進技術の開発』に取り組んでいます。

 具体的には、以下の研究を行っています。

<主要研究>

<重点研究>

<基盤研究>

※研究開発プログラム「水災害の激甚化に対する流域治水の推進技術の開発」の概要と各研究概要はこちら (土木研究所内部評価委員会資料を元に作成)


外部資金による研究

 ICHARMでは、土木研究所運営交付金による研究だけでなく、以下のような外部の資金による研究活動も積極的に行っています。

   地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)

 SATREPS(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)とは、地球規模課題の解決に向けた日本と開発途上国との国際共同研究を推進するプログラムです。SATREPSは、科学技術と外交を連携し相互に発展させる「科学技術外交」の一環として、地球規模の課題解決を目指す国際共同研究を推進します。
 昨今、SDGs(持続可能な開発目標)が世界で注目されている通り、気候変動や食糧問題、自然災害、感染症など、地球規模の課題は年々複雑化するとともに、特に影響を受けやすい開発途上国においては深刻な状況となっています。これらを解決するためには、国を越えた科学技術イノベーションの創出と研究成果の社会還元、人材の育成と研究能力の向上が必要です。
 SATREPSでは、環境・エネルギー、生物資源、防災、感染症※の4つの研究分野を対象に日本と開発途上国の研究者がともに課題に取り組み、現地のニーズを踏まえながら実社会で活用可能な知識や技術を新たに創り出していくことにより、持続可能な開発を目指す国際社会に貢献します。
(SATREPSホームページ https://www.jst.go.jp/global/index.html から作成)

 ICHARMでは、以下の国の各プログラムにおいて共同研究を行っています。

フィリピン:
「気候変動下での持続的な地域経済発展への政策立案のためのハイブリッド型水災害リスク評価の活用(HyDEPP-SATREPS)」
SATREPS紹介ページ  https://www.jst.go.jp/global/kadai/r0109_pilipinas.html

アルゼンチン:
「気象災害に脆弱な人口密集地域のための数値天気予報と防災情報提供システムのプロジェクト」
SATREPS紹介ページ https://www.jst.go.jp/global/kadai/r0309_argentine.html

タイ:
「事業継続マネジメントに貢献する水害リスク情報の創出」
SATREPS紹介ページ https://www.jst.go.jp/global/kadai/h2908_thailand.html



   内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

 SIPとは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設された国家プロジェクトで、国民にとって真に必要な社会的課題や、日本経済再生に寄与できるような世界を先導する課題に取り組みます。
 各課題を強力にリードするプログラムディレクター(PD)を中心に産官学連携を図り、基礎的研究から実用化・事業化、すなわち出口までを見据えて一気通貫で研究開発を実施します。令和5年度から9年度までの5年間は、第3期として14の課題が実施されます。
(SIPホームページ https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/ から作成)

 ICHARMでは、14の課題の一つ「スマート防災ネットワークの構築」を構成するサブ課題の一つである「リスク情報による防災行動の促進」に共同研究機関として参加しています。

ニュースレター関連記事 <71号>
https://www.pwri.go.jp/icharm/publication/newsletter/pdf/icharm_newsletter_issue71.pdf#page=5



   文部科学省「気候変動予測先端研究プログラム」

 本プログラムは、これまで文部科学省が推進してきた気候変動研究をさらに発展させ、気候変動予測シミュレーション技術の高度化等による将来予測の不確実性の低減や、気候変動メカニズムの解明に関する研究開発、気候予測データの高精度化等からその利活用までを想定した研究開発を一体的に推進することで、気候変動対策(気候変動適応策・脱炭素社会の実現に向けた緩和策)に活用される科学的根拠の創出・提供を目指すものです。
 令和4年度に4つの課題が決定され、ICHARMはそのうちの一つ「ハザード統合予測モデルの開発」(実施機関:国立大学法人京都大学)、そのうちの課題 D.「アジア太平洋地域でのハザードおよびリスク評価と国際協力」において、フィリピンにおける水循環モデルの構築や、現地の実情に応じたオンライン知の統合システムの構築に着手しています。
 (文部科学省ホームページ https://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/mext_00203.html から作成)

参考  京都大学ホームページ http://www.climate.dpri.kyoto-u.ac.jp/sentan4/



   内閣府「研究開発と Society5.0 との橋渡しプログラム」(BRIDGE)
   

 BRIDGE(programs for Bridging the gap between R&D and the IDeal society(society 5.0) and Generating Economic and social value)は、統合イノベーション戦略等の科学技術・イノベーション政策の方針に基づき、総合科学技術・イノベーション会議(Council for Science, Technology and Innovation: CSTI)が各省庁の研究開発等の施策のイノベーション化(SIPや各省庁の研究開発等の施策で開発された革新技術等を社会課題解決や新事業創出に橋渡しするための取組をいう)につなげるための「重点課題」(例:事業環境整備、スタートアップ創出、人材育成など)を設定し、研究開発だけでなく社会課題解決等に向けた取組を推進するプログラムです。(内閣府 BRIDGEホームページから作成)

 ICHARMはこのうち、国土交通省が担当する「IDR4M※(市町村災害対応統合システム)の全国展開の加速化プロジェクト」の「ハザード評価」において、河川水位予測に関連して水位予測モデルを構築することで貢献する予定です。
※IDR4M:Integrated-System of Disaster Reduction 4(for) Municipalities

参考
○内閣府ホームページ
研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)
「IDR4Mの全国展開の加速化プロジェクト」

○国土交通省ホームページ
河川砂防技術研究開発公募 SIP社会実装部門

○一般財団法人 河川情報センター(FRICS)ホームページ
IDR4M 紹介リーフレット


最新の研究トピックス

 ICHARMの最新の研究トピックスは、「ICHARM Activity Report」や「ICHARM Newsletter」の研究紹介記事でご覧いただけます。

「ICHARM Activity Report FY2022」
 ICHARMでは、年1回「ICHARM運営理事会」会合を開催し、前年度における活動報告書(ICHARM Activity Report)の審査を行うこととされています。ICHARM Activity Reportには最新の研究成果や活動報告が掲載されています。

「ICHARM Newsletter」の研究紹介記事
 ICHARMが年4回発行している「ICHARM Newsletter」では、最新の研究トピックについて、担当する研究員が記事を執筆しています。

Paper List

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過去に実施した研究はこちら

土木研究所運営交付金による研究
土木研究所 第4期中長期計画(平成28-令和3年度)
土木研究所 第3期中長期計画以前
外部資金による研究