中小河川から中下流域における土砂・流木・洪水氾濫等ハザード想定技術の開発

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研究の背景

 我が国では、近年毎年のように、大型の台風の接近や上陸、活発な前線の活動により、激甚な水災害が発生し、中小河川では大量の土砂・流木を伴う洪水氾濫が散見されている。また、気候変動に伴い、河川整備基本方針が見直される中、河積を確保するために多くの河道掘削を含む対策が検討されている。
 このような状況下で、中小河川から中下流域を含む河道における土砂輸送や、それに伴う河床変動を評価できる手法の必要性が益々高まっている。しかし、流域の面的な土砂輸送を含む、平時から洪水時に対応した様々な時空間スケールに応じた土砂・流木・洪水氾濫等ハザードを評価できる手法は限られている。

研究の目的

 構造物から流域の視点に至る多様な時空間スケールに応じた、土砂・流木・洪水氾濫等ハザードを想定可能な土砂水理モデルを開発し、これらを様々な河川流域の現場に適用して、河川管理の実務に土砂水理モデルを活用する。

研究期間

令和4年度 ~ 令和9年度

研究担当者

上席研究員久保田 啓二朗
主任研究員 田中 陽三
専門研究員 原田 大輔、秦 梦露、Kattia Rubí Arnez Ferrel

研究概要・成果

 本研究では、流域、平面二次元、三次元に対応する土砂水理モデルを開発している。中でも、本研究で開発している流域スケールの水・土砂・流木の輸送を一体的に解析する降雨土砂流出モデル(Rainfall-Sediment Runoff (RSR) model)は、流域の任意地点における土砂の量、その粒度分布、流木の流出を時系列で求めることができる。本モデルを国内外の様々な河川流域に適用し、その適用性を検討しているところである。

図-1:RSRモデルの概要
図-2:バングラデシュ(Sangu川)での適用事例(観測結果と解析結果の比較)
図-3:安平川での適用事例(観測結果と解析結果の時系列での比較)