民間企業や投資市場の行動と流域治水の好循環形成に向けた基礎研究

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研究の背景

 ESG経営への意識の高まりから、東証プライム上場企業や気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言賛同企業の財務情報開示において将来の気候変動による影響を評価する動きが広がっている。

 その影響評価の中には水害による物理的影響に関するリスク評価も含まれるが、その技術的手法に関する企業のニーズが高まっており、これに応える定量的なリスク評価手法を普及することで、企業が水害対策の内容と活動量を自ら差別化し、競争的に取組を進めるメカニズムを形成することが期待できる。

 こうした民間企業や投資家(以下、「民間企業等」)の意識や行動の変化は、流域治水を進める上でも大きな推進力となり得る。

 その実現策を検討するためには、各主体の考え方や行動に実際にどのような変化が生じ、それが流域治水を進める上で全体としてどのような影響を及ぼすかを明らかにする必要がある。

研究の目的

 本研究により上記の知見を蓄積することで、流域治水を進める立場で効果的な施策や技術開発の検討・実施につなげていく。それにより、民間企業等における水害対策に資する取り組みを「経営コスト」から「企業価値」に転換し、そのための企業の努力と、結果としての地域の防災力・防災意識向上との好循環を形成することも期待できる。

 ひいては、民間企業等における水害対策の促進、社会の強靱化と持続化、「水防災意識社会」の再構築を図り、様々な住民や企業等が相互理解しながら主体的に参画する「流域治水」の推進に寄与する。

企業によるリスク評価と開示、事前防災対策強化の好循環のイメージ

他機関との連携

なし

研究期間

令和5年度 ~ 令和7年度

研究担当者

上席研究員新屋 孝文
主任研究員 内藤 健介

研究概要・成果

以下の達成目標を掲げ研究開発を進める。
①民間企業等の近年の行動変化に関する情報収集
②企業活動を流域治水の観点から評価する手法の開発
③今後の施策や技術的課題の抽出、考察